わたし好みの新刊   201506

『水のふしぎあそび』  立花愛子・佐々木信/著  偕成社

 「ちょこっとできるびっくりあそび」シリーズの一冊である。この本では,水を

使った手軽な遊びが楽しめる。最初に「水って、ふしぎ!」とタイトルにある。

しかし,出てくる写真は蛇口から流れるいくつかの水の形で特段〈ふしぎ〉でも

なんでもない,ようだが見方を変えれば〈ふしぎ〉な現象に見えてくるから不思議。

蛇口からしたたる水玉の形も不思議と言えば不思議な現象である。水の表面張力

などが関係するのだろうか。水の〈ふしぎ〉を感じる感性がいるかもしれない。

2リットルのペットボトルの水をホースにつめて「2リットルの水が、こんなになが

くなっちゃった!」とある。まあこれも良しか。ペットボトルレンズでレンズ遊びが

楽しめる。近年の炭酸飲料用ペットボトルは透明感もありこうしたレンズ遊びにう

ってつけだ。

「コップで、てじな」も楽しそう。透明感のある縦長のコップを見つけるのが一苦

労かも。「おさかなせんすいかん」もいいアイディアだ。空気がもれないようにテ

ープを巻くのがコツ。「水中エレベーター」もコロンブスの卵。今まで浮沈子として

いろんなアイデアがあったが,瓶の口にゴム風船をつけるのは初めての試み。

ただ,あまり強い力は加えられないので水中の魚の動きが微妙では。いろいろ試し

てみる必要がある。「しずまないトマト」ではミニトマトがかわいくて楽しそう。もの

の浮き沈みを知る遊びになっている。湯気の上でダンスをする「ダンシングタコさん」

もセロファン紙の性質をうまく利用している。その他,色水遊びもアートとするところ

がいい。

各所に簡単な解説のコラムがあり,大人にはそれぞれの現象が簡単に理解でき

るようになっている。装丁や写真もいい。子どもと水遊びが楽しめる一冊である。

 2015,03刊 1,600

 

『育てて発見!ジャガイモ』 真木文絵/文 石倉ヒロユキ/写真・絵

  福音館書店

  近年こうした栽培の本がよく出されるようになった。かなり専門的な本も多い中,

この本は子どもにもわかり易く編集されている。しかも日常的に身近なジャガイモ

である。「育てて、発見!」シリーズなので,育てながらジャガイモを見ていくと
いうスタイルになっている。
育てることによって問題意識も高まり観察にも焦点が
絞られる。

 まずはジャガイモの育つ場所。ほぼ全国的に栽培はされているが,なんといっ

ても北海道が全国一の産地。ジャガイモは暑さが苦手だからだ。ジャガイモの植

え付け前に「ジャガイモをよく見てみよう」とある。ジャガイモでまず目をつけるの

は「目」と「皮」という。表面にあるくぼみを「目」と呼んでいる。この凹みが後

日大切な役目をはたす。この凹みの位置はジャガイモを取り囲むように順序だっ

てついている。なるほど。ここで「種イモを観察しよう」になる。「種イモ」の目

の部分から高フ新芽が出始める。ジャガイモの「目」から芽と根が出てくる。

いよいよジャガイモを育てるページに。プランターや,培養土などが入っていた大き

めの袋も使える。種イモはそのままの形で植え付けるのではない。半切りにして少

し乾燥させるなど,ちょっと細工が必要だ。植え方もノウハウがある。このあたりに

気をつけて土に埋めると,やがて15日ぐらいで芽が出てくる。芽が出て葉が大きく

なってきたころに手入れが待っている。「芽かき」をするといい。元気のいい芽を

2,3本残して他の芽は引き抜いておくと大きなイモができる。「芽かき」をしないで

葉っぱをたくさんつけて育てるのもおもしろいかもしれない。小さくても数多くイモを

収穫したい人にはいいのかな。後半には,葉や茎の話,花の話,ジャガイモの種類

や栽培の歴史,料理の話などもりだくさん。ジャガイモの茎でトマトを育てるなんて

こともできるとか。楽しい栽培の本である。         

                  2015,02,15刊  1,200(西村寿雄)

           「新刊案内6月」